外壁塗装の時期は築何年?公的資料で見る塗り替えサインの判断

目次
「外壁塗装は築10年で」とよく言われます。ただ、この“10年”に公的な根拠があるわけではありません。公的な資料で「10年ごと」と定められているのは点検のほうで、しかもそれは長期優良住宅の認定を受けた住宅についての基準です。塗り替えの時期は、築年数だけでなく外壁の状態と、お住まいの地域の気候から判断します。この記事では国土交通省・JIS・気象庁の資料をもとに整理します。
先に結論
築10年は「塗り替えの期限」ではありません。長期優良住宅の認定を受けた住宅では10年ごとの点検が求められており、認定の有無にかかわらず点検を考える節目として参考にできます。外壁に使う塗料の等級を定めるJIS規格にも、屋根用塗料の日本塗料工業会規格にも、耐用年数を年数で示した統一基準はありません。判断材料は、外壁に出ているサインと、御殿場のように雨が多く冬に冷え込む土地の条件です。
よく見る目安と、公的資料に書いてあることは違います
最初に、情報の出どころを整理しておきます。同じ「10年」でも、意味がまったく違います。
| よく見る説明 | 公的資料に実際に書いてあること | 出どころ |
|---|---|---|
| 築10年で塗り替え | 認定を受けた長期優良住宅について、少なくとも10年ごとに点検を行う | 長期優良住宅の維持保全の方法の基準(国土交通省告示第209号) |
| ― | 長期優良住宅の維持保全の期間は建築後30年以上 | 長期優良住宅の認定基準(国土交通省) |
| シリコンは10〜15年、フッ素は15〜20年 | 年数の規定はない。公開されている目次に耐用年数の条項がなく、対象もふっ素・シリコーン・ポリウレタン樹脂の2液形に限られる | JIS K 5658(建築用耐候性上塗り塗料) |
| 外壁は10年ごとに塗り替えるもの | 外壁・屋根等は点検・メンテナンスに加え15〜30年程度で更新を検討 | 住宅リフォーム推進協議会 |
| 春と秋が塗装のベストシーズン | 気温5℃以下、湿度85%以上、結露等で乾燥に不適当な場合は塗装を行わない | 公共建築改修工事標準仕様書 7.1.6 |
この「10年」は点検の周期であって、塗り替えの期限ではありません。そして、これは認定を受けた長期優良住宅に求められる維持保全の基準であり、すべての戸建てに義務づけられているものではありません。認定を受けていないお住まいでも、点検の間隔を考えるうえでの目安として使えます。ここを取り違えると、まだ必要のない工事を急いだり、逆に傷みのサインを見落としたりします。

塗料の等級は「年数」ではなく試験の数値で決まっています
「シリコンは何年もちますか」というご質問をよくいただきます。正直にお答えすると、業界で統一された答えはありません。
建築用の耐候性上塗り塗料を定めたJIS K 5658は、主要原料がふっ素樹脂・シリコーン樹脂又はポリウレタン樹脂で、主剤と硬化剤を混合して硬化させる塗料を対象としています。公開されている目次に、耐用年数を定めた条項はありません。
等級を試験の数値で定めている規格の例は、屋根用にあります。日本塗料工業会の規格JPMS 27(耐候性屋根用塗料)は、促進耐候性試験(キセノンランプ法)の照射時間を1級2,500時間・2級1,200時間・3級600時間とし、その後の光沢保持率を1級と2級が80%以上、3級が70%以上と定めています。屋外暴露耐候性では、光沢保持率が1級60%以上、2級40%以上、3級30%以上です。ただしこれは屋根用の塗料についての規格で、外壁の塗料に当てはめることはできません。同規格にも「何年もつ」という年数の規定はありません(全21ページを確認しました)。あわせて、日本塗料工業会が塗料グレード別の耐用年数を統一基準として公表しているかも確認しましたが、該当する資料は見当たりませんでした。
ここは誤解されやすい点です
よく見る「アクリル5〜7年、シリコン10〜15年」といった表は、公的な規格に基づくものではありません。塗料メーカーが自社製品について公表している目安値か、各社が経験からまとめた数字です。年数を判断材料にする場合は、どの会社のどの製品の値なのかを確認してください。なお、JIS K 5658が対象としているのはふっ素樹脂・シリコーン樹脂・ポリウレタン樹脂で、アクリル樹脂は対象に含まれていません。
メーカーが使う「期待耐用年数」という言葉にも定義があります。日本ペイントの用語解説では、塗膜の汚れ・チョーキング・変退色・表層のひび割れが進み、塗膜寿命により下地の保護機能が期待できなくなると予想される目安の時期とされています。同社は「外観変化時期」から「期待耐用年数」までの期間を「塗り替え目安」と定義しています。つまり、見た目に変化が出た時点が終わりではなく、そこから塗り替えを考える幅がある、という捉え方です。
築年数より先に、外壁の4つのサインを見ます
年数に統一基準がない以上、判断は建物を見るしかありません。ご自宅から安全に見える範囲で確認できるものを挙げます。高所や不安定な場所での確認は避けてください。
チョーキング
外壁を軽く触れると白い粉が付く状態です。塗膜表面の変化を示すサインの一つです。
ひび割れ
幅・長さ・位置を見ます。下地まで達している可能性がある場合は早めにご相談ください。
剥がれ・膨れ
塗膜が浮いている場合は、下地の状態も含めて確認が必要です。
目地の変化
サイディングの目地が割れる・やせる場合は、雨水の入り方を確認します。
費用の目安は御殿場市の外壁塗装 費用相場、見積書の読み方は外壁塗装の見積書の見方で解説しています。工事後に後悔しやすい点は外壁塗装の失敗例にまとめました。当社の料金の考え方は料金案内をご覧ください。
御殿場の外壁、今すぐ必要な工事と様子見でよい箇所を分けてお伝えします
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サインが出ていない場合は、どう考えればよいか
これは競合の記事があまり触れていない部分です。築10年を過ぎても、4つのサインがほとんど出ていない家はあります。その場合に急いで塗る必要があるかというと、必ずしもそうではありません。
判断のポイントは「どの面を基準にするか」です。同じ家でも、日当たりや雨の当たり方で傷み方は変わります。南面と北面、1階と2階、軒が出ている面と出ていない面で差が出ます。いちばん条件の厳しい面を基準に見ると、見落としが減ります。
チョーキングについても、一部だけに出ているのか、全面に広がっているのかで意味が変わります。一部なら、その面の環境が厳しいということです。全面に出ている場合は、塗膜全体が同じように進んでいると考えられます。工事の範囲も変わるため、どこにどの程度出ているかを写真に残しておくと、診断がしやすくなります。
中古で購入して前回の塗装時期が分からない場合は
築年数からの逆算はできませんが、外壁の状態からは判断できます。目地のシーリングの状態、塗膜の艶の残り方、チョーキングの出方を見ます。前の所有者から工事の記録が引き継がれていれば確認し、無ければ現況を起点に次の点検時期を決める形になります。
御殿場の気候は、全国平均の目安をそのまま当てはめにくい土地です
ここは御殿場ならではの話です。気象庁のアメダス御殿場の平年値(統計期間1991〜2020年)を見ると、年降水量は2,874.6mm、年平均気温は13.2℃です。月別では9月が372.5mm、7月が361.4mm、10月が315.2mmと多く、12月が104.3mm、1月が104.6mmと少なくなります。
冬の冷え込みも数字に出ています。日最低気温の月平均値は1月が-1.9℃、2月が-1.2℃、12月が0.5℃です。雨が多く、冬は氷点下まで下がる日がある土地だということが分かります。
この条件は、外壁にとって楽ではありません。雨が多ければ壁面が濡れている時間が長くなり、冬に冷え込めば水分の凍結と融解が繰り返される可能性があります。全国平均を前提にした「10年」という目安を、そのまま当てはめてよいとは限りません。
ただし、ここで正直に申し上げておきます。「御殿場は全国平均より何年早く傷む」と言えるだけの公的データは確認できませんでした。年数を上乗せして不安をあおるのではなく、点検の頻度を少し高めに考える、という受け止め方が妥当だと考えています。

塗装できる日の条件は、公的な仕様書で決まっています
「塗装は春と秋がよい」と言われる理由も、根拠をたどると気候の条件に行き着きます。国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書(令和7年版)7.1.6では、気温が5℃以下、湿度が85%以上、結露などで塗料の乾燥に不適当な場合は塗装を行わないとされています(適切な採暖・換気を行う場合を除く)。また、降雨のおそれがある場合や強風時は原則として行わないとされています。
御殿場の1月は日最低気温の月平均値が-1.9℃ですから、朝の時間帯は施工条件を外れる日があります。逆に降水量の少ない12月・1月は、日中の気温と乾燥状態を見ながら進められる場合もあります。
季節で一律に決めるのではなく、その日の気温・湿度・天候で判断するのが実際のところです。工期に余裕を見ておくと、無理な日程で塗ることを避けられます。

まだ迷うなら:次にやることを1つに絞ります
ここまで読んで判断がつかない場合、次の順で考えてください。
4つのサインのどれかが出ているなら、築年数に関わらず点検を受けてください。特にひび割れが下地に達している可能性がある場合や、目地が割れて雨水の入り口ができている場合は、塗装より先に補修の判断が必要です。
サインが出ていないなら、急いで塗る必要はありません。ただし、いちばん条件の厳しい面(雨や日差しが当たりやすい面)の写真を撮って残し、1年後に同じ場所を撮って見比べてください。変化の速さが分かると、次の判断が楽になります。
前回の塗装時期が分からないなら、現況の診断から始めてください。無料の現地診断では、今すぐ必要な工事と様子を見てよい箇所を分けてお伝えしています。
この記事の判断根拠:点検の周期は長期優良住宅の維持保全の方法の基準(国土交通省告示第209号)で、これは認定を受けた長期優良住宅についての基準です。塗料の規格は建築用のJIS K 5658(適用範囲と目次を確認)と、等級と試験の数値については屋根用の日本塗料工業会規格JPMS 27、更新の目安は住宅リフォーム推進協議会、施工条件は公共建築改修工事標準仕様書、気象データは気象庁アメダス御殿場の平年値(1991〜2020年)に基づいています。すべて2026年9月5日に確認しました。「期待耐用年数」の定義は日本ペイントの用語解説によるものです。塗料グレード別の耐用年数(シリコン10〜15年など)は、公的な統一基準が確認できなかったため本記事では年数を示していません。また、御殿場の気候が塗膜の劣化を何年早めるかを示す公的データも確認できなかったため、劣化の速さについては断定を避けています。外壁材ごとの点検周期についても公的な一次資料に到達できておらず、記載していません。
よくある質問
外壁塗装は築10年で必ず必要ですか?
必ずではありません。公的資料で「10年ごと」とされているのは点検の周期で、しかもこれは長期優良住宅の認定を受けた住宅についての基準です。すべての戸建てに10年ごとの塗り替えや点検が義務づけられているわけではありません。塗り替えの時期は外壁の状態から判断します。
シリコン塗料は何年もちますか?
業界で統一された年数の基準はありません。JIS K 5658(建築用耐候性上塗り塗料)の公開されている目次には、耐用年数を定めた条項がありません。等級を促進試験の照射時間と光沢保持率で定めているのは屋根用の規格JPMS 27で、こちらにも年数の規定はありません。年数を確認する場合は、使用する製品のメーカー公表値をご確認ください。
チョーキングが出たらすぐ塗装ですか?
塗膜表面の変化を示すサインの一つです。一部に出ているのか全面なのかで意味が変わります。ひび割れ・剥がれ・目地の状態も併せて確認してください。
冬の御殿場でも外壁塗装はできますか?
日によります。公共建築改修工事標準仕様書では気温5℃以下・湿度85%以上では塗装を行わないとされています。御殿場の1月は日最低気温の月平均値が-1.9℃のため、朝の時間帯は条件を外れる日があります。気温と乾燥状態を見ながらの施工になります。
築15年ですが、まだ何のサインも出ていません。放置してよいですか?
サインが無いなら急ぐ必要はありませんが、放置とは違います。雨や日差しが当たりやすい面を写真に残し、変化を追ってください。住宅リフォーム推進協議会は外壁・屋根等について15〜30年程度での更新の検討を挙げています。
出典(すべて2026年9月5日確認):
国土交通省「長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づく認定基準」(平成21年国土交通省告示第209号)/
国土交通省「長期優良住宅に関する維持保全」/
国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」7.1.6 施工管理/
JIS K 5658:2010 建築用耐候性上塗り塗料(日本規格協会 公式プレビュー)/
日本ペイント「期待耐用年数・外観変化時期・塗り替え目安」用語解説/
気象庁「アメダス御殿場 平年値(1991〜2020年)」/
日本塗料工業会 規格 JPMS 27:2009(耐候性屋根用塗料)/
住宅リフォーム推進協議会「住宅リフォームの基礎知識」
最終更新:2026年9月14日
訂正:促進耐候性試験の照射時間と光沢保持率の数値を、当初JIS K 5658のものとして掲載していましたが、原文を再確認したところ屋根用の規格JPMS 27の値でした。2026年9月14日に帰属を修正しました。



