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遮熱塗料は御殿場で効く?規格は屋根用で外壁は対象外という話

遮熱塗料は御殿場で効く?規格は屋根用で外壁は対象外という話

「遮熱塗料にすれば夏が涼しくなりますよ」。外壁塗装の提案でよく出てくる言葉です。ところが規格と制度を開いてみると、遮熱塗料の枠組みは屋根のために作られています。外壁の遮熱塗料には、合否を決める製品規格も登録制度もありません。この記事では、規格の原文と環境省の資料、そして御殿場の気象データを使って、この土地で遮熱塗料を選ぶ意味があるのかを整理します。

先に結論

遮熱塗料の日本産業規格(JIS K 5675)は、適用範囲を「建築物の屋根及び屋上の塗装に用いる」塗料としています。日本塗料工業会の自主管理制度も名称が「遮熱塗料(屋根用)自主管理要領」で、建築物の外壁に塗装される遮熱塗料は登録の適用対象外と明記されています。つまり外壁の遮熱塗料には、合否を決める製品規格も登録制度もありません(日射吸収率の測り方を定めたJIS K 5603は、屋根と外壁の両方を対象にしています)。さらに環境省の資料は、屋根の高反射化について冬季の暖房負荷が増加する地域があるので注意が必要としています。御殿場は猛暑日が平年で年0.1日と、夏の暑さのピークが近隣より短い土地です。ただし近年は平年値より暑くなっています(後述)。デメリットも含めて整理します。

なお、この記事は遮熱という機能そのものを扱います。塗料の樹脂グレードの選び方は塗料の耐用年数は誰が決めた?、費用の目安は料金案内御殿場市の外壁塗装 費用相場、着工時期は外壁塗装のベストシーズンは春と秋?をご覧ください。

遮熱塗料の規格は「屋根用」です

まず規格から確認します。日本産業規格 JIS K 5675 の名称は「屋根用高日射反射率塗料」で、適用範囲にはこう書かれています。

規格の適用範囲(原文)

「この規格は,建築物の屋根及び屋上の塗装に用いる自然乾燥形エナメル系の屋根用高日射反射率塗料について規定する。この規格は,防水層の仕上げ剤として施す塗料及び焼付け形塗料には適用しない。」
公開されているプレビューの範囲では、この規格に「外壁」という語は出てきません。また「室温」も「省エネ」も出てきません。規格が定めているのは塗料の性能であって、室温が何度下がるかではありません。

塗料の規格が何を定めていて何を定めていないかという話は、樹脂グレードでも同じ構図があります。詳しくは塗料の耐用年数は誰が決めた?シリコン・フッ素・無機を規格で比較にまとめました。

業界の自主管理制度も、屋根用です

遮熱塗料には、日本塗料工業会が運用する登録制度があります。カタログで星印を見たことがあるかもしれません。この制度の要領は名称からして「遮熱塗料(屋根用)自主管理要領」です。

要領の「登録適用対象外」には3つの条件が挙げられており、そのうち2つが建築物の外壁や産業機械、構造物等に塗装される遮熱塗料と、建築物の屋根以外に塗装される遮熱塗料です(もう1つは車道・歩道などの路面用です)。外壁用は、はじめから対象外ということです。

カタログや提案書で星印を見たときは、それが屋根用の登録であることを確認してください。外壁の提案に星印が添えられていた場合、その星印は外壁の性能を示すものではありません。

遮熱塗料の製品規格と登録制度があるのは屋根用だけであることを示した対照表の図。屋根は製品の規格も登録の制度もあり、外壁はどちらもないこと、測り方の規格は両方にあることを表した図

なぜ制度が作られたのか。同会は背景として、市場で日射反射などの広告が氾濫し、行き過ぎた結果として一般消費者や建築業界に不信感を抱かせることになった、という趣旨の説明をしています。業界団体自身が、遮熱の広告が行き過ぎたと認めているということです。

外壁の遮熱には、製品規格と登録制度がありません

ここまでをまとめると、こうなります。

屋根 外壁
日本産業規格(JIS K 5675) あり(屋根及び屋上が適用範囲) なし
日本塗料工業会の登録制度 あり(屋根用) 対象外と明記
測定方法の規格(JIS K 5603) あり あり(屋根と外壁の両方が対象)
他社製品と比べる方法 製品規格と登録で比べられる 各社の試験条件を個別に読むしかない

誤解のないように書くと、測り方の規格は外壁にもあります。JIS K 5603は「建築物の屋根及び外壁」等に用いられる塗膜の日射吸収率の測定方法を定めた規格で、日本塗料工業会の☆表示もこの測定方法を尺度にしています。無いのは「この数値を満たせば合格」という製品規格と、屋根用のような登録制度です。ですから外壁では、どの試験条件で測るかの決まりも、満たすべき合否ラインも、第三者が確かめる仕組みもありません。提案を受けたら、その数値がどんな条件で測られたものかを聞いてください。建物の種類(工場か住宅か)、測ったのが表面温度か室温か、断熱材があるかどうかで結果は変わります。

夏に効く分、冬はどうなるのか

ここが、ほとんどの記事が触れない点です。環境省のヒートアイランド対策ガイドラインは、屋根面の高反射化という対策について、効果を挙げたうえで「冬季の暖房負荷が増加する地域があるので注意が必要」と書いています。

同じ資料の本文には、もっと踏み込んだ記述があります。高反射率塗料による対策について「冬季も日射を反射するために暖房負荷は増加してしまいます。そのため、仙台以北での空調負荷低減効果はほとんど見られません。」と書かれています(業務建物についての試算です)。

理屈は単純で、日射を反射するのは夏だけではないからです。冬も同じように反射します。夏の冷房が楽になる分、冬の暖房は不利に働きます。

御殿場の冬は、仙台より冷え込む日が多い

気象庁の平年値で冬日(日最低気温が0℃未満の日)を比べると、仙台は年65.1日、御殿場は年71.6日です。環境省の記述は業務建物の試算で、戸建てにそのまま当てはまるものではありません。ただし「冬の冷え込みが長い地域ほど通年の効果が出にくい」という向きは、御殿場にも当てはまる方向だと考えられます。

ただし、戸建てでの実測データは見つかりませんでした

公表されている実験には、つくば市の実験棟で夏場のエアコン消費電力が一般塗料より抑えられ、冬場には差がなかったとするもの(日本塗料工業会が公開している遮熱塗料のリーフレットに、茨城県つくば市の実験棟での試験として紹介されているもの)もあります。一方で環境省の資料は冬季の暖房負荷の増加に注意を促しています。結論が一致していません。いずれも実験棟や工場を対象としたもので、御殿場の戸建てで測ったデータではありません。この記事では、どちらか一方を断定しません。

遮熱塗料が夏と冬で逆に働くことを示した図。同じように日射を反射するため、夏は室内が涼しくなる一方、冬は室内が暖まりにくくなることを対比した図

御殿場の夏は、近隣より短めです

では御殿場ではどうか。気象庁の平年値(1991年から2020年まで)で、三島と並べます。

項目 御殿場(アメダス) 三島(気象官署)
夏日(日最高25℃以上) 年81.6日 年132.3日
真夏日(日最高30℃以上) 年19.8日 年59.6日
猛暑日(日最高35℃以上) 年0.1日 年2.8日
冬日(日最低0℃未満) 年71.6日 年32.0日

真夏日は三島の3分の1ほど、猛暑日はほとんどありません。逆に冬日は三島の2倍以上です。

ただし、近年は平年値より暑くなっています

平年値は1991年から2020年までの平均です。気象庁の年ごとの値で御殿場の真夏日を見ると、2023年44日・2024年54日・2025年49日と、平年値の19.8日を大きく上回っています。猛暑日も2024年と2025年に各1日ありました。「御殿場は涼しいから遮熱は不要」と平年値だけで決めるのは早いということです。それでも三島の平年値(真夏日59.6日)と比べると、まだ少ない水準です。

夏の暑さのピークが短く、冬の冷え込みが長い土地ということになります。御殿場の気候の詳細は御殿場の外壁は劣化が早い?気象庁データで見る3つの理由と対策で整理しました。

サトー建装

御殿場でも夏に2階が暑いお宅はあります。ただ暑さの原因が屋根なのか、断熱材なのか、小屋裏の換気なのかで、打つ手が変わります。塗料で解決する話とは限りません。

屋根に塗るなら、屋根材の状態が先です

遮熱かどうかを考える前に、その屋根が塗って使い続ける状態かどうかを確認してください。割れやずれがある、雨漏りが出ている、下地が傷んでいるという場合、塗装では解決しません。

外壁も同じで、劣化のサインが出ている場合は機能より先に手当てが要ります。症状ごとの急ぎ方はチョーキング・ひび割れ・コケ|外壁の症状別に見る塗り替え時期に、塗る前の下地処理の考え方は外壁塗装の下地処理はなぜ重要?にまとめています。遮熱は「その上に何を選ぶか」の話です。

「20℃下がる」という数値の読み方

遮熱の説明でよく見る数値には、条件が付いています。混同しやすいのは次の3つです。


表面温度:屋根そのものの温度。最も大きく下がりますが、室内の温度とは別です。


室温:実際に人が感じる温度。表面温度の下がり方に比べると、変化はずっと小さくなります。


空調の消費電力:建物の断熱・気密・使い方で変わります。工場と戸建てでは前提が違います


メーカーが出している大きな数値は、工場や倉庫の施工例として示されている場合があります。住宅の話として受け取る前に、どの建物で、何を測った数値かを確認してください。

屋根に塗るか外壁に塗るかで判断が変わることを示した分岐図。屋根は規格と登録で比べられ、外壁は各社の試験条件を個別に確認することを表した図

遮熱を選ぶ前に確かめる4項目

確認すること なぜ見るのか
屋根に塗るのか、外壁に塗るのか 規格と登録制度があるのは屋根用だけです
JIS認証か、それとも「相当」か 認証を受けたものと、社内試験で相当としているものは別です
小屋裏に断熱材が入っているか 断熱がしっかりしているほど、屋根の表面温度が室温に伝わりにくくなります
冬の寒さをどう考えるか 御殿場は冬日が年71.6日。夏の効果と冬の条件を両方見て決めます

費用の考え方は料金案内御殿場市の外壁塗装 費用相場を、着工時期の決め方は外壁塗装のベストシーズンは春と秋?御殿場の平年値で確かめるをご覧ください。

遮熱が見合うかどうかを、屋根の状態から無料で判断します

小屋裏の断熱や屋根材の状態を見たうえで、遮熱を選ぶ意味があるかを率直にお伝えします。現地調査・診断・お見積りは無料です。しつこい営業はいたしません。

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それでも遮熱が向いている場合

不利な材料ばかり並べましたが、向いている条件もあります。


屋根に塗る場合:規格と登録制度があり、性能を比べられます。


小屋裏の断熱が弱い家:屋根から入る熱の影響が大きいほど、変化を感じやすくなります。


2階が居室で夏に使う家:暑さの不満がはっきりしている場合は、対策の候補になります。


逆に、もともと断熱がしっかりしている家や、2階をあまり使わない家では、費用に見合う変化を感じにくいことがあります。「遮熱にしておけば間違いない」ではなく、家の作りに合わせて決めてください。

遮熱塗料が向く家と変化を感じにくい家を並べた図。小屋裏の断熱が薄く2階を使う家と、断熱が厚く2階をあまり使わない家の断面を対比した図

まだ迷うなら:次にやることを1つに絞ります

迷っているなら、まず屋根に塗るのか外壁に塗るのかをはっきりさせてください。

屋根であれば、規格と登録制度があるので比べられます。外壁であれば、合否を決める規格と登録制度がないのでメーカーの試験条件を個別に確認することになります。この区別をしないまま「遮熱にしますか」と聞かれても判断できません。当社の現地調査は無料で、小屋裏の状態を含めて確認したうえで、遮熱を選ぶ意味が薄い場合はそうお伝えします無料の現地調査を申し込むところから始めてください。御殿場市内は出張費もかかりません。

この記事の判断根拠:遮熱塗料の規格の適用範囲は、日本規格協会が公開しているJIS K 5675:2011のプレビューで確認しました。「外壁」「室温」「省エネ」という語が出てこないという記述は、公開されているプレビューの範囲についてのものです。登録制度の対象範囲は日本塗料工業会「遮熱塗料(屋根用)自主管理要領」の条文によります。冬季の暖房負荷についての注意は環境省のヒートアイランド対策ガイドラインの記載です。気象データは気象庁の平年値(1991年から2020年まで)と、年ごとの値をそのまま引用しました。遮熱塗料によって御殿場の戸建てで室温が何度下がるか、電気代がいくら下がるかを示す一次データは見つからなかったため、数値は書いていません。公表されている実験は工場や実験棟を対象としたもので、戸建ての実住宅ではありません。冬に寒くなるかどうかについては、環境省と業界団体の資料で結論が一致していないため、どちらかに断定していません。屋根の状態と小屋裏の見方についての記述は、当社が御殿場市・裾野市・小山町で行っている施工に基づく説明です。

よくある質問

Q

外壁に遮熱塗料を塗る意味はありますか?

A

意味がないとは言えませんが、合否を決める製品規格と登録制度がないため、他社と同じ条件で比べられません。日本産業規格のJIS K 5675は屋根及び屋上が適用範囲で、日本塗料工業会の登録制度も外壁に塗装される遮熱塗料を適用対象外としています。外壁で検討する場合は、メーカーが示す試験の条件(どんな建物で、何を測ったか)を個別に確認してください。

Q

遮熱塗料にすると冬は寒くなりますか?

A

資料によって結論が異なります。環境省のヒートアイランド対策ガイドラインは、屋根面の高反射化について冬季の暖房負荷が増加する地域があるので注意が必要としています。一方、業界団体の資料には、実験棟で冬場に差がなかったとするものもあります。御殿場の戸建てで測ったデータは見つかりませんでした。

Q

御殿場は遮熱塗料が必要なほど暑いですか?

A

気象庁の平年値では、御殿場の猛暑日は年0.1日、真夏日は年19.8日です。三島の猛暑日2.8日・真夏日59.6日と比べると、夏の暑さのピークは短くなります。一方で冬日は年71.6日と三島の2倍以上です。暑さ対策の必要性は、お住まいの向きや2階の使い方によって変わります。

Q

「屋根の表面温度が20℃下がる」と説明されました。

A

表面温度と室温は別のものです。屋根の表面温度が大きく下がっても、室温の変化はそれよりずっと小さくなります。またそうした数値は工場や倉庫の施工例として示されている場合があります。どの建物で何を測った数値かを確認してください。

Q

遮熱と断熱は何が違いますか?

A

遮熱は日射を反射して熱が入るのを抑える考え方、断熱は熱の伝わりを遅らせる考え方です。屋根に遮熱塗料を塗っても、小屋裏の断熱材の代わりにはなりません。暑さの原因が断熱不足にある場合は、塗料では解決しないことがあります。

Q

遮熱塗料は普通の塗料より長持ちしますか?

A

遮熱かどうかと耐久性は別の話です。耐候性は樹脂の種類や製品ごとの性能で決まります。塗料のグレードの考え方は当サイトの塗料比較の記事をご覧ください。

出典

最終更新:2026年9月

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佐藤春樹

この記事を書いた人

佐藤春樹サトー建装 代表/一級塗装技能士

御殿場市を拠点とするサトー建装の代表。一級塗装技能士として、外壁・屋根塗装を自社施工で手がけています。見えない下地処理から仕上げまで妥協しない施工を信条に、静岡県東部の住まいを守っています。

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